平成13年産以降の入札取引の改善方向


平 成 1 2 年 8 月
平 成 1 3 年 6 月
大豆入札取引委員会

国産大豆の生産者・実需者間での安定的取引関係を構築し、需給相均衡した量的拡大を図っていく上では、
@ その取引の指標となる価格が市場で適正かつ透明に形成されること
A 公正かつ公平な取引システムとすること
B 実需者の円滑な取引に資するシステムとすること
等が重要である。
こうした観点から、平成13年産以降の入札取引については、次に掲げる方向で改善を図ることとし、今秋以降の取引の実態等も踏まえつつ、さらに検討を進めることとする。

1 入札事務の完全分離
@ 12年産の入札事務については、経費面等の問題から、その一部を売り手に委託して行うこととしているが、一部委託とはいえ、売り手が行うという点において、従来の入札システムの不透明感を完全に払拭したとはいいがたい。
A また、売り手における入札結果の整理には、2日程度の時日を要しており、円滑な販売に資する早期の情報把握という観点からも問題なしとしないところがある。
B さらに、売り手は販売業務に専念し、産地情報等の買い手側への提供等にむしろ力を入れるべき等の意見もある。
C こうした事情を踏まえ、入札機能を売り手から完全に分離して、事務を一貫して財団法人日本特産農産物協会(以下「協会」という。)で実施するものとする。
D なお、処理システム導入に係る経費については、入札事務の有する公共性や農政推進上の位置付けも踏まえ、できる限り取引当事者の負担にならないような措置を講じるべきものと考えられる。

2 代金決済・物流指示
@ 12年産の入札取引においては、代金決済・物流指示の機能は、従前どおり売り手が担うこととされている。
A しかしながら、このような方法では、代金決済を行う売り手に買い手の価格情報が流れてしまい、情報把握において非対称性が生じ、取引の公平性についての信頼を損なうおそれがある。
B このような事情にかんがみ、自主流通米で行われているように、売り手の代金回収部門を売り手本体から切り離し、協会がこの切り離された主体と一体となって、代金決済等を行うこととする。
C なお、この場合も、できる限りコストアップの問題が生じないような方法を採るべきものと考えられる。

3 ロット組み
@ 現在の入札取引においては、売り手において等級等を組み合わせたロットを組んで入札に付している。
A このような方法は、買い手側にとっては自由に等級や量を選択できない等の問題を有するものであるが、作柄が不安定な大豆の特性を踏まえれば、等級のバランスをとりながら販売する上で有効な面もあり、また、ロット表には保管倉庫名が記載されており、これが買い手の応札の際の重要な情報ともなっていることから、当面はこの方式を継続することとする。
B ただし、今後、一定のロットを確保したJAの上場や生産技術の高位平準化による均質化が進めば、倉所情報の位置付けも変じるものと考えられることから、状況の推移を踏まえ、より円滑な取引に資する方式を検討するものとする。 

4 その他
(1) 予定価格
現行では、売り手側に予定価格の申出をすることを認めているが、これについては、農家手取りの確保という観点から必要であるとする意見が多く、当面は、適正な価格形成や需要拡大の支障とならないことを前提に、これを継続するものとする。
 
(2) 応札の方法
現行では、買い手はFAX等により全国6か所の取引場への応札を行うこととなっているが、入札事務が完全分離され、応札の方法もFAX等によることとされていることから、取引場を1か所に集約することとする。

(注)
1 売り手が支配する買い手の応札
@ 売り手が実質的に支配する買い手の応札について、買い手側から、指標価格の操作や安価の転売による卸売価格の混乱につながるとの懸念が示された。
A しかしながら、本件については売り手側から、そのような事態が現実に起きることがあれば、入札参加に対する制限を付することができ、むしろ本委員会で適切な監視を行う方が好ましいとの見解が示されたことから、本委員会において適切な取引監視を行いつつ、問題が生じた場合には、必要な見直しを行うこととする。

2 引取期限
@ 引取期限については、相対取引が導入されること等からこれを短縮すべきとする売り手側の意見と、現行どおりとして円滑な取引に資するべきとする買い手側の意見が並存している。
A ただし、本件については、業務規程第14条第4項の規定に基づき協会が定めるものとされているので、本委員会ではこれ以上の検討を行うことはせず、取引当事者の意見調整を協会にて引き続き行うこととする。 


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