1−7 豆腐仕向大豆の需給と価格
 食品用大豆の中で用途別には豆腐製造用原料として使われる量が最も多く、約1/2の50万トン弱の大豆が使用される。豆腐用には、輸入大豆、国産大豆ともに使用され、国産の割合は、2〜3割、国産大豆使用量は13万トン程度である。[1-7-1
  豆腐の製造技術は多様であり、加工適性にたんぱく質の含有量等が関係するとしても、豆腐原料になる銘柄とならない銘柄が明確に区分されている訳ではない。
  しかしながら、国産大豆の品種のうち、関東から九州までの太平洋側で多く作付けられているフクユタカが最も多く、北陸地方を中心としたエンレイ、東北地方の日本海側で作られるリュウホウも主要な用途は豆腐と思われる。
  これら豆腐仕向銘柄大豆の動向を整理する。

  銘柄別取引動向
  フクユタカは、関東以西の多くの産地で作付けられているが、集荷数量は、福岡県、佐賀県を主体とする北九州が最も多く、次いで、愛知県、三重県、岐阜県の東海3県が多い。
  平成21年産は、天候の不順により、大豆の作柄は、全国的に前年を下回ったが、特に東海地方では、播種時期の長雨と台風18号の被害により、大豆の大部分を占めるフクユタカの減収が著しかった。
  前年産の豊作による持越在庫等によって、需給が緩和し、九州産は、落札が少なく、価格は前年を僅かに下回る状況であったが、東海産フクユタカは、比較的積極的な入札によって落札価格は、前年に比べて高くなった。隣接する滋賀県産ではそのような動きはなく、価格も下がっており、中京圏での地産地消的需要を反映した限定的な現象と思われる。
1-7-2
  フクユタカ以外で豆腐用に多く用いられている品種は、エンレイとリュウホウである。
  エンレイは、日本海側の各県で生産されているが、新潟県が最も多く、次いで富山県である。[1-7-3
  リュウホウは、主に東北の日本海側で生産されており、秋田県が最も多く、山形県、岩手県でも生産されている。[1-7-4
  平成21年産の福岡県、佐賀県等九州産フクユタカ、新潟県、富山県等北陸産エンレイ、秋田県等東北産リュウホウのいずれも集荷数量は、平成20年産に比べて減少したものの、19年産を上回った。平均落札価格は、平成20年産では19年産を上回り、21年産では、フクユタカは、前年産をやや下回る水準であったが、エンレイ、リュウホウは、20年産に比べて下落し、更に19年産をも下回る水準となった。
  月別落札価格の推移をみると、平成21年産ではエンレイ、リュウホウは、月を追って下落する傾向が著しかった。平成22年産取引が始まって価格が元の水準に復帰する気配を見せて[いる。1-7-5
  
 
資料の出所(掲載されているインターネットサイト)
総合食料局食品産業振興課推計「食品用大豆の用途別使用量の推移」
農林水産省「平成19年度 食料・農業・農村白書参考統計表」
第2節 図U−77 大豆の需要構造(2005年度推計)
農林水産省「国産大豆品種の事典」
フクユタカ
エンレイ
リュウホウ
 
 
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