2 平成22〜23年産大豆価格形成の状況
 入札取引による国産大豆価格形成状況について以下に検討する。
 
  2-1 入札取引開始以降の概況
   当協会が入札取引の運営を担当することとなった平成12年産以降の年産別落札数量、平均落札価格の推移を見ると、平成12年産から14年産まで60s当たり5,000円程度の状況が続いたが、 平成15年産は、北日本の低温、長雨等の影響で作柄が悪かったことから、平均落札価格が1万円をやや下回る9,500円まで上昇し、 さらに平成16年産は、全国的な長雨、台風等の気象災害に加え、平成15年産の米の不作から生産調整がさらに緩和されて転作大豆が減少して作付面積も減ったこと
から大豆の収穫量が減少し、平均落札価格は更に上昇して約16千円まで高騰した。 [2-1]
[2-1]
 平成17年産以降22年産まで7,000円前後の水準で安定的に推移した。このうち平成20年産〜22年産については、落札数量が2万トン程度と少ない状況で推移した。 月毎の平均落札価格の推移を
見ると、平成16年産以前は、年産毎の取引期間中の変動が大きいが、平成17年産以降月毎の変動も小さくなる傾向を示している。[2-2]
   
  2-2 平成20年産以降の状況
   平成20年産〜23年産の動きをみると平成22年産の取引で震災後の平成23年4月以降落札数量が増加する状況が見られる。[2-3]
 上場数量に対する落札数量の割合を示す落札率をみると、平成20、21年産では各月30%を下
回る状況が続いたが、平成22年産の震災後の取引では30%を上回る月が多くなり、平成23年産
取引では50〜60%の水準に上昇している。[2-4]
 このように、平成21年産では入札取引が不活発な状況にあったが、平成22年産取引に至って状況が変化し、取引が活発化し、落札価格が上昇に向かう兆しが伺える。 入札ロットの落札価格帯別の落札数量の分布を図示すると、21年産、22年産とも60kg当たり6,500〜7,000円の価格帯の落札数量の割合が最も多いが、21年産ではこの価格帯より低い価格帯がこれに次いで多いのに対し、22年産ではこの価格帯より高い価格帯がそれに続いており、落札価格帯の分布が変化していることが認められる。[2-5]
 平成22年産の主要な産地品種銘柄大豆の落札価格を21年産と比較してみると、北陸産エンレイ、九州産フクユタカ等が前年に比べて高くなった。一方、東海産フクユタカは、大幅に価格が低下したが、これは、愛知県等東海地方で平成21年産大豆が気象災害によって減収して、価格が上昇したが、22年産では平年並みの作柄に復したため、九州等のフクユタカ並の価格に戻したものである。フクユタカ、エンレイ、リュウホウ等豆腐原料に供される銘柄は、概ね前年産を上回った。これらの銘柄については、流通段階の過剰在庫が解消に向かったものと思量される。[2-2]