1.大豆需給・価格形成状況
1−1 大豆需要の推移
 平成21年産大豆入札取引は、低調であった前年産に引き続き、低調なものとなった。
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  バイオエネルギー需要の増加等により、世界的に大豆在庫が減少した2007−2008年(我が国の平成19年産出回り期に相当)では、大豆の国際価格が高騰した。その時期、平成19年産国産大豆については、一部の銘柄を除き、全体として価格が上昇する現象は見られなかったものの、取引は活発であった。
  2008年冬に発覚した中国産冷凍餃子から有害成分が検出されたことに端を発した中国産食品に対する不信感の広がりも国産大豆需要を喚起したと思われる。
  2008年9月のリーマン・ショック以降、世界経済が急速に冷え込み、国内の食品市場においても低価格志向が強まり、また、一旦高騰した輸入大豆価格も低下する中で輸入大豆に比較して高価な国産大豆の需要の減、さらに作柄がよかったことによる供給増から平成20年産大豆の需給は緩和し、その状況は、平成21年産大豆の取引にも引き継がれたと見られる
  我が国の大豆需要量は、農林水産省「食料需給表」によれば、国内消費仕向量として2008年において4,034千トンとされている。このうち、主に搾油原料となる加工用が2,978千トンを占め、豆腐、みそ、煮豆等の大豆加工品の原料や消費者が食材として用いる数量(食品用数量)は、純食料として示され、861千トンとされている。[1-1-2
  食料需給表で示される1人当たり純食料について米と比較して、資料作成が開始された1960年(昭和35年)以降の推移を見ると米の消費が一貫して減少する中で、大豆は、増加から横ばいの傾向を示してきた。ごく最近年においては減少の傾向も見られる。
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  食品用大豆消費量の推移について、農林水産省が推計した資料を紹介する。
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  総量は、横ばい、または減少している。用途別にはみそ用が減少、納豆用、豆乳用が増加から頭打ち傾向と理解される。人口が増加から減少に転じる状況にあること、人口構成が食料消費の多い若年層の割合が減り、食料消費が少ない高齢層の割合が高まることも大豆の消費に影響すると思われる。
  後述するように我が国の大豆需要に対して外国産大豆が国産大豆を大きく上回って供給されている。国産大豆は外国産に対して相対的に価格が高く、国産大豆の使用は、大豆加工品の生産コストを高め、製品価格が高くなる。したがって、消費者が敢えて国産大豆を使用した製品を求めるかどうかが国産大豆の需要を左右する。
  中国食品の問題がクローズアップされた2008年(平成20年)には、消費者の国産志向の高まりがみられた。
 
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